「セルシオが復活する」――そんな噂が2025年になって再び盛り上がっています。
トヨタの高級セダンの象徴だった「セルシオ」は、2006年のレクサスブランド上陸を機に姿を消しました。しかし、最近になって国内外の自動車ファンやメディアの間で「セルシオ復活説」が再燃。EV化が進むトヨタの新戦略の中で、セルシオという名が再び登場する可能性が取り沙汰されています。
この記事では、2025年10月時点での最新情報とともに、噂の根拠、予想スペック、価格帯、登場時期、そして復活の現実性をトヨタの経営戦略の視点から徹底的に解説します。
セルシオ復活の噂が再燃した理由
「セルシオ復活」というキーワードが検索上で注目され始めたのは、2024年後半。
トヨタが「新世代高級EVセダン開発」に着手しているという報道をきっかけに、「セルシオの再来では？」とファンの間で話題となりました。
特にSNS上では「レクサスLSが次期型でEV専用になる」「トヨタブランド側でセルシオを復活させる」といった予想が拡散され、ニュースサイトでも取り上げられるようになっています。
一方で、現時点（2025年10月）においてトヨタからの公式発表はありません。
つまり、セルシオ復活の噂はまだファン・メディアによる期待と分析に基づく推測段階といえます。
しかしながら、トヨタのブランド構成や市場の動きを見ると、完全な荒唐無稽ではない点も存在します。
セルシオとは何だったのか？ブランドの象徴としての存在
セルシオ（Celsior）は1989年に初代モデルが登場。
「静粛性」「品質」「乗り心地」で国産車の常識を覆したモデルとして、日本の高級車市場を席巻しました。
海外では「レクサスLS」として販売され、トヨタが世界の高級車市場へ挑む足がかりとなった伝説的モデルです。
特に3代目となる「30系セルシオ（2000〜2006年）」は、完成度の高さから今も中古市場で高値を維持しています。
“静かな高級車”の代名詞であり、メルセデスSクラスやBMW7シリーズに真っ向から勝負を挑んだ唯一の国産車でもありました。
この「静粛性」「精密さ」「品格」という要素こそが、今でも“セルシオ”という名前が語り継がれる理由です。
トヨタが再び「セルシオ」を投入する可能性
背景①：レクサスLSの販売縮小とトヨタブランド再構築
2024年以降、レクサスLSの国内販売台数は減少傾向にあります。
一方でトヨタブランドでは、「クラウン」がクロスオーバー・セダン・SUVと多角的に展開され、高級ブランド再構築の兆しを見せています。
この流れを受けて一部メディアでは「トヨタブランドの最上級セダン＝セルシオ」という新しい構想が語られています。
トヨタがクラウンの上位クラスとして、もう一段階上の高級セダンをラインアップする構想を持っていても不思議ではありません。
“レクサスではなくトヨタ”という選択肢を国内で復活させることは、ブランドの多様性という観点でも有意義です。
背景②：EV化戦略における「象徴モデル」の必要性
トヨタは2025年から「bZシリーズ」を中心としたEV展開を強化しています。
すでに「bZ4X」「bZ3C」「bZ5」が発表されており、2026年には新世代EVプラットフォーム「Arene」が採用されると報じられています。
この流れの中で、「ブランドの象徴」となるフラッグシップEVを投入する可能性は高いと考えられます。
それが、**「EV版セルシオ」**という形で登場する可能性です。
つまり、セルシオという名を冠した「静寂と上質」を極めたEVセダンこそ、トヨタがかつての名声を継承しながら次世代へ進む象徴的存在になるかもしれません。
もしセルシオが復活するとしたら──予想スペックと技術
現行トヨタおよびレクサスの技術資産から考えると、新型セルシオ（仮称）の仕様は次のように予想されます。
- パワートレイン：3.5L V6ハイブリッド or 電動デュアルモータードライブ
- 出力：400〜450馬力クラス
- 駆動方式：FR（後輪駆動）＋電子制御4WD
- プラットフォーム：TNGA-Lまたは新世代EV専用プラットフォーム
- 航続距離（EV仕様）：600〜700km（bZ5と共通基盤想定）
- 安全技術：Toyota Safety Sense 3.5／レベル2.5自動運転支援
- インテリア：防音ガラス・アクティブノイズキャンセリング・後席マッサージ機能・天然木パネル・ナノイーX空調システム
- 価格帯：1500万〜2000万円台前後（国内仕様想定）
また、車体デザインは初代セルシオをオマージュした「水平基調×控えめな高級感」を踏襲しつつ、近年のトヨタEVデザイン（bZシリーズ）を融合させたスタイルが予想されます。
価格・発売時期の予想と登場シナリオ
復活が実現するとすれば、最も有力なのは2026年以降のタイミングです。
理由は、トヨタのEVラインアップ再編と「レクサスLSの次期モデル移行」が重なる時期だからです。
想定されるシナリオは以下の3パターン。
- シナリオA（EVセルシオ）：2026年にEVフラッグシップとして国内初公開。価格は1800万円前後。
- シナリオB（ハイブリッド版セルシオ）：現行LSベースの高級ハイブリッドとして2027年登場。
- シナリオC（限定コンセプトモデル）：ショーファーカー専用モデルとして限定台数で発売。
いずれも正式な計画ではないものの、トヨタが高級セダン市場への再参入を模索している動きは複数のメディアで報じられています。
セルシオ復活を支える3つの根拠
- トヨタブランドの上級車層空白
クラウンは多角化しつつも“フラッグシップ”としての象徴性が薄れつつある。
その上位にセルシオのような純粋な高級セダンを再設定する余地がある。 - 静粛性と品質＝EV時代の核心テーマ
EVでは“静粛性と滑らかさ”がブランド価値を決める要素に。
セルシオのDNAがまさにその理想像に一致する。 - レクサスブランドとの住み分け戦略
レクサスは海外志向が強く、国内顧客の「和の高級感」に対応できていない層も存在。
国内専用の「トヨタ高級セダン」としてセルシオが再定義される可能性がある。
セルシオ復活に立ちはだかる壁
一方で、セルシオ復活にはいくつかの課題もあります。
1つ目は「ブランドカニバリゼーション」。レクサスLSとの競合を避ける必要があります。
2つ目は「需要の縮小」。セダン市場が世界的に縮小傾向にあり、販売台数の採算性をどう確保するかが課題。
3つ目は「EV市場の価格競争」。欧米の高級EV（メルセデスEQE／BMW i7など）と競うには、独自の価値提案が不可欠です。
そのため、トヨタがセルシオを再び投入する場合、単なる“復活”ではなく、「EV時代の新しい高級車像」として設計する必要があります。
ファンが望む“理想のセルシオ像”
自動車ファンの間では、セルシオの復活に際して「どんな姿で戻ってきてほしいか」という理想像が語られています。
多くの意見に共通しているのは以下の3点です。
- 圧倒的な静粛性と上質さ：エンジン音ではなく「無音の存在感」で勝負してほしい。
- “控えめな威厳”のデザイン：派手すぎず、走る品格を表すシルエット。
- 日本らしいおもてなし設計：後席の快適性や素材の温かみなど、和の高級感。
特に「無駄を削ぎ落とした高級感」は、現代のトヨタが得意とするデザイン哲学にも通じています。
海外市場では「セルシオ＝LS」ブランドとしての継続
海外ではセルシオという名はすでにレクサスLSへと統合され、アメリカ市場では今でもトヨタ高級車の象徴として生き続けています。
もし日本市場でセルシオが復活すれば、それは「日本限定モデル」または「国内特化高級ブランド再構築」の第一弾となるでしょう。
この動きが成功すれば、クラウン・センチュリー・セルシオという3本柱でトヨタの高級車戦略が再構築される可能性もあります。
まとめ：セルシオ復活は“現実味のある夢”になりつつある
現時点ではトヨタから公式発表はなく、セルシオ復活はあくまで噂の域を出ません。
しかし、トヨタのブランド再編やEV戦略、国内高級車市場の再注目を考慮すると、完全に非現実的な話ではなくなってきています。
セルシオという名前が持つ「静けさ・上質・誇り」という価値は、EV時代にもそのまま生きるコンセプトです。
次のモーターショーや新型クラウンシリーズ発表のタイミングで、トヨタがどのようなメッセージを打ち出すのか――その中に“セルシオ”の再来を示唆する動きがあれば、再び日本の高級車市場に激震が走るかもしれません。
今はまだ噂の段階ですが、2026年にかけてトヨタの新フラッグシップが登場する可能性は十分にあります。
その時、かつてのセルシオのように“静かにして圧倒的な存在感”を放つ新型車が誕生するか。ファンの期待が現実となる日を、静かに待ちたいところです。